家賃と一緒に請求されるケーブルテレビ代に消費税はかかるか?

この問題は消費税の基本的な考え方を身に付けるのにいい問題だと思うので、少し詳しく解説していきます。

まず、消費税の4要件に該当するかどうかの判定を行います。
消費税が掛かる取引は、以下の4要件を全て満たしたものだけです。

① 国内の取引
② 事業として行っている
③ 対価を得て行っている
④ 資産の譲渡、貸付またはサービスの提供

①は今回の問題では明確に「該当」します。
②は、会社かどうかは関係なく、収益を得るために繰り返し行う、という意味なので、今回の相手先が大家さん個人であっても「該当」します。
③は対価を得ているので「該当」します。
④はケーブルテレビ受信設備の貸付として「該当」します。

以上から4要件を全て満たすので、消費税は「課税」になりそうですが、もう一段判定があります。

それは「非課税かどうか」の判定です。
「非課税」とは、4要件を満たして本来は課税になる取引に該当するが、政策的な配慮で消費税を課税しない取引を言います。

気付いた方もいるかもしれませんが、不動産の賃貸も4要件を全て満たすので、原則消費税課税です。
しかし、住居用の家賃は非課税になっています。
これは家賃に消費税を掛けると実質的に出費が増えるので住む家を失う人が出るかもしれないので、政策的に消費税を掛けないようにしているわけです。

非課税は政策的に決められているので、具体的な取引17個がタックスアンサーで公表されています。

No.6201 非課税となる取引|国税庁 (nta.go.jp)

この17個目が「住宅の貸付け」です。これにケーブルテレビ代が含まれるかどうかが問題になる訳ですが、どのように判定すればいいのでしょうか?
これもタックスアンサーに回答があります。

集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定|国税庁 (nta.go.jp)

これだけだと分かりにくいので、少し補足すると、全戸がケーブルテレビを見る見ないにかかわらず一律徴収されるものは、住宅に対する従属性が強固な設備として非課税になります。(家賃とみなされる)
ケーブルテレビを見る人だけが契約して、家賃と一緒に徴収されている、という場合はケーブルテレビ代については課税になります。家賃とは別のサービスと判定されます。

まとめ

消費税がかかるかどうか判定する時は、4要件を満たすかどうかを判定し、その後非課税取引に該当するかどうかの判定をします。
あと、一般に「非課税」というと消費税が掛からないという意味で用いられますが、正確には、課税取引に該当するが政策的に消費税を課税しない、という意味になります。
消費税が掛からない取引は「課税対象外」または「不課税」と呼びます。