レンタルとリースの違いって何?

2022年8月18日

レンタルとリースの違いって何でしょう?会計処理の違いについても解説します。

レンタルとリースの違い

解約して借りた物を返したらたら来月から料金を支払わなくていいのが「レンタル」。
借りた物を返しても、リース料総額を全額支払わなくてはならないのが「リース」です。

「レンタル」は物を借りる取引なので、解約すれば(物を返せば)料金は発生しません。
「リース」も物を借りる取引なんじゃないの?と思われるかもしれませんが、違います。
「リース」はお金を借りる取引なんです。お金を借りて物を買っているというのが実態なのです。だから物を返してもリース料は免除されません。借りたお金(リース料総額)を全額返済するまでリース料を支払う必要があるのです。

レンタル、リースという用語は一般的な用語で、法律などで厳密に定義が定められているわけではないので、上記に当てはまらない契約もありえます。
ただ、一般的には上のような理解で大丈夫です。

レンタルとリースの会計処理の違い

実は会計上に「レンタル」という概念はありません。
上で述べたようにレンタル、リースという用語は一般的な用語で、定義があいまいなので使いません。
会計上はちゃんと定義が定められている「ファイナンスリース」かそれ以外(「オペレーティングリース」と呼びます)で区分しています。
表にまとめると以下の通り。

一般的な呼称会計上の区分会計処理
リースファイナンスリース売買処理(物を買った時と同じ処理にるす)
オペレーティングリース
(ファイナンスリース以外)
貸借処理(リース料を費用で処理する)
レンタル

「ファイナンスリース」に該当するかどうかの判定基準は2つです。
途中解約不能であること、と、物の購入費用をほぼ全額借り手が負担している、ということです。
(ざっくり言ってますが後者はフルペイアウトのことです。気になる人はGoogle先生に聞いて下さい。)

会計上は「リース」をより細かく分類し、経済実態としてお金を借りて物を買っていると認められる取引を「ファイナンスリース」として、固定資産の取得と借入(リース債務)として処理します。
それ以外のリース(例えば、リース期間終了後に借りた物を売却することを見越して大きくリース料を割り引きしてある取引など)については毎月のリース料発生時に費用として処理します。
レンタルについては、通常は短期で借りる取引で、物の購入費用全額を負担したりはしないので、レンタル料を費用として処理すれば大丈夫です。

ちなみに、中小企業については「ファイナンスリース」でも毎月リース料を費用とする処理も認められています。
https://www.leasing.or.jp/information/chusyo.html

具体例

・社有車

自動車リースは問答無用で「オペレーティングリース」みたいな風潮がありますが、本来はちゃんと「ファイナンスリース」かどうかの判定をすべきです。
一応、自動車は中古市場が発達しており、残存価格を割り引いたリース料が設定されるためフルペイアウトに該当せず、「ファイナンスリース」ではない、というのが理屈のようです。
メンテナンスリースだから「ファイナンスリース」ではない、というのは理由になりません。メンテナンス費用が含まれるのであれば、それを除いてファイナンスリースの判定します。
(そこまで厳密に判定している会社はないと思いますが)

・コピー機、複合機

こちらもメンテナンスなどが含まれる契約が多いですが、通常は「ファイナンスリース」に該当することが多いです。
ただ重要性の基準(1契約あたり300万円以下)で費用処理している会社が多いのではないかと思います。

まとめ

ざっくりとした解説は以上ですが、リース会計は複雑で、これらの他にもたくさん論点があります。
ただ、上に書いたことを理解してから会計基準を読むと結構理解ができるのではないかと思います。

もっと勉強したい人は会計基準も読んでみて下さい。
企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/Lease_55.pdf