未払の費用に仮払消費税を計上できるか?
「未払で計上された費用に仮払消費税を付けていいんですか?」
という質問を受けました。
消耗品費 | 2,000 | 未払費用 | 2,200 | |
仮払消費税 | 200 | ←ここの消費税 |
答えはもちろん、いい、というか課税取引であれば、むしろ付けなければなりません。
なぜこの質問が出たのか、なぜ未払の時点で仮払消費税の計上が必要なのか解説します。
未払だと仮払消費税が計上できないかも、となぜ思ったか?
これはなんとなく想像がつきます。
消費税の仕組みを勉強する時に、ざっくり全体の説明を次のように受けます。
まず仕入を行った時、仕入先に商品代や原材料費と一緒に支払った消費税を仮払消費税に計上します。
次に製品を販売した時に、得意先から製品代と一緒に受け取った消費税を仮受消費税に計上します。
仕入先に払った消費税(仮払消費税)と得意先から受け取った消費税(仮受消費税)を相殺して、差額を税金として納付します。
イメージとして、得意先から消費税を受け取ったら預金などに残しておき、仕入先に払う時はそこから消費税の支払いをして、残った現金を国に納付する、という感じに理解するのではないかと思います。
そうすると、まだ払っていない消費税は手元にあるので、仮払消費税は計上できず、支払った時に計上するのでは?
(受け取る場合は、まだ消費税をもらってないのので仮受消費税を計上できないのでは?)
という疑問に繋がるのではないかと思います。
上の説明では、分かりやすくするために現金主義で説明されていますが、正しくは費用の発生に合わせて消費税も計上します。
仮払消費税であれば、物品を引き渡した時またはサービスの提供があった時に計上します。支払をした時ではありません。
これはタックスアンサーにも明記されています。
No.6165 前受金や前払金などがあるとき(一部抜粋)
消費税の課税資産の譲渡等や課税仕入れの時期は、所得税、法人税の場合と同じように、原則として資産の引渡しやサービスの提供があった時とされています。
したがって、例えば、工事代金の前受金を受け取ったり、機械の購入について前払金を支払っていたとしても、その受取や支払の時期に関係なく、実際に引渡しやサービスの提供があった時が売上げや仕入れの時期となります。
同じように、未収金や未払金がある時も、その代金の決済の時期に関係なく、資産の引渡しやサービスの提供があった時が売上げや仕入れの時期になります。
ここでは前払について書かれていますが、未払の場合も同様で、支払済みかどうかは関係なく、費用の計上に合わせて消費税を計上することになります。
逆に費用の計上と一致させないと、期末の消費税申告書を作成した時に税差が発生する原因になります。
(消費税の税額計算の方法上、そうなるのですが、詳しくは割愛します)
実務上は費用・収益の発生と仮払消費税・仮受消費税の発生は同時だと覚えておけば大丈夫です。
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