都市ガスを使用した燃料電池導入によるCO2削減

【現状の課題・背景】

2050年のカーボンニュートラルの目標を掲げていますが、製造量を維持しながらCO2排出量を大幅に削減するには、エネルギーの効率的な利用が不可欠であると考えます。そこで、都市ガスを使用した燃料電池でCO2を削減する方法を提案します。

 

【提案内容】

500kWクラスの燃料電池で自家発電を行い、購入する電力を削減することでCO2排出量を減らします。

燃料電池自体の発電効率は50%程度ですが、発電過程で発生する熱をコージェネレーションとして有効利用することで、総合効率を約65%まで高めます。

また、水素を使用する燃料電池は現状のインフラでは難しいため、より現実的な都市ガスを使用する方式を提案します。

 

【期待される効果】

500kwクラスの燃料電池で、稼働率80%とすると、年間3,504,000 kWhを発電できます。

(500kw×24時間×365日×80%=3,504,000 kWh)

発電効率50%、都市ガスの発熱量を45MJ/N㎥とすると、使用する都市ガスは約506,640 N㎥。CO2排出係数は2.29kg/ N㎥で年1,283tになります。

(3,504,000 kWh×3.6MJ/kWh÷45MJ/N㎥÷50%=506,640N㎥)

電力会社から電気を購入する場合の1kWh当たりのCO2排出量は、東京電力で0.421 kg-CO2/kWh、関西電力で0.419 kg-CO2/kWhと公表されているため、ここでは 0.42kg-CO2/kWhとします。3,504,000 kWhを購入する場合のCO2排出量は1,472tになります。

燃料電池を導入した場合、差し引き189tのCO2削減になります。

それに加えて3,419,820 MJの熱が発電時に発生するため、ガスボイラーで熱を供給した場合と比べて75,996 N㎥相当の節約ができます。

(506,640N㎥×15%=75,996 N㎥)

 

年間電力都市ガス合計
使用量排出量熱利用量使用量排出量排出量
kWht-CO2MJN㎥t-CO2t-CO2
燃料電池3,504,0001,2833,419,82001,283
現状(購入)3,504,0001,4723,419,82075,9961741,646
削減量▲189▲174▲363

都市ガスの使用によりScope1のCO2排出量は増加しますが、電力購入量削減によりScope2のCO2排出量が減少し、トータルでは排出量は減少します。

 

【費用・期間・導入方法等の実現性評価】

導入費用は2億円程度(500kWクラスで35万円/kW+付帯設備)を想定。

補助金を受けられる可能性もありますが、今回の試算では考慮しません。

以下、概算のFSになります。

導入費用200,000千円付帯設備含む
電力料削減(年)▲70,080千円3,504,000kWh×20円/kWh
ボイラーガス代減少(年)▲7,600千円75,996 N㎥×100円/ N㎥
燃料電池ガス代増加(年)+50,664千円506,640N㎥×100円/ N㎥
メンテナンス費用(年)+10,000千円導入費用の5%を想定
年間コスト削減額(年)▲17,016千円
回収可能期間11.8年2億円÷17,016千円

 

セルの寿命が10年程度と言われているので、10年で計算すると、導入費用2億円-コスト削減額(10年分)170,160千円=最終赤字29,840千円となります。コストメリットは出ませんが、CO2の削減費用と考えると年間2,984千円(最終赤字29,840千円÷10年)で363tの削減と考えられます。CO2 1t当たりの削減費用は8.2千円となります。

 

【他部門展開の可能性・応用案】

都市ガスが使えるところであれば海外も含めどこでも展開可能です。

 

【懸念点】

工場での燃料電池の使用はいくつか実証実験が進められていますが、運用実績が乏しく以下の懸念点があります。

・メンテナンスコストが高い(部材交換頻度も高い)

・安定稼働の実績不足(トラブル頻度、復旧時間に不安あり)

・熱需要とのマッチングが難しい

(燃料電池は24時間連続稼働が前提だが、発生する熱を有効に使えないと効率が下がる)

 

【まとめ】

新しい技術であるため、懸念点も多く、想定した効果が出ない可能性もありますが、うまく使えれば大きくCO2を削減することができます。

今回の提案の中では比較的大型の燃料電池を想定しましたが、小型の燃料電池から、テスト導入してみることも可能です。