個人からもらう領収書の印紙税はいくらなのか?

現金支払いが発生した時は領収書をもらう必要がありますが、相手が個人だった場合は印紙税はいくらになるでしょうか?
(印紙をいくら貼ってもらえばいいのでしょうか?)
意外と難しかったのでここにまとめておきます。

公式見解

まずは国税庁のページへ行って公式見解を確認してみます。
(後で解説するので全部理解しなくて大丈夫です)

金銭または有価証券の受取書は、受け取る金銭または有価証券が売上代金に係るものかそれ以外のものかで税額が異なります。売上代金とは、資産を譲渡しもしくは使用させること(その資産に係る権利を設定することの対価を含みます。)または役務を提供することによる対価(手付けを含みます。)、すなわち何らかの給付に対する反対給付であることをいいます。

したがって、借入金、担保としての保証金、保険金や損害賠償金などは売上代金に該当しません。

なお、営業に関しない金銭または有価証券の受取書は、非課税となっています。ここでいう営業とは、一般通念による営業をいい、おおむね営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいいます。したがって、株式会社などの営利法人や個人である商人の行為は営業になりますが、公益法人や商人以外の個人の行為は営業には当たりません。

No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁

このページの理解が難しいのは、似たような言葉である「売上代金に係るもの」と「営業に関するもの」が登場するのに、この2つは全く違う意味で使われているところだと思います。
以下でわかりやすく解説していきます。

判断の手順と解説

まずは、「営業に関するもの」かどうかの判定を行います。
「営業に関するもの」は、営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことです。
法人か個人かは関係なく、会社は営利組織なので全部あてはまるでしょうし、個人でも生業としている場合はあてはまります。
個人が住んでいた自宅を売却したり、不要になったものを売るような行為は、反復継続して行うものではありませんので該当しないことになります。
この「営業に関するもの」に該当しない場合は、金額に関係なく領収書の印紙税は非課税になります。
「営業に関するもの」に該当する場合は、次の判定ステップに進みます。

次のステップは「売上代金に係るもの」かどうかの判定を行います。
「売上代金に係るもの」は、資産の譲渡や役務の提供の対価であるもの、一般化して言えば何らかの給付に対する反対給付であるもの、という意味になります。
通常の売買はもちろん、ほとんどの取引は何かの対価として支払いが発生するので、たいてい該当すると思います。
例外的に、借入金、担保としての保証金、保険金や損害賠償金などは売上代金に該当しません。
この「売上代金に係るもの」に該当しない場合は、記載金額5万円未満は非課税、5万円以上は200円になります。
「売上代金に係るもの」に該当する場合は、以下の表の金額となります。

記載金額税額
5万円未満非課税
5万円以上 100万円以下のもの200円
100万円を超え 200万円以下のもの400円
200万円を超え 300万円以下のもの600円
300万円を超え 500万円以下のもの1,000円
500万円を超え 1,000万円以下のもの2,000円

記載金額1,000万円以上については、以下を参照してください。
No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁

まとめ

まず「営業に関するもの」の判定、次に「売上代金に係るもの」の判定、と順番に考えていけば領収書の印紙税額は簡単にわかります。
最初に調べたかったことが「個人からもらう領収書の印紙税はいくらなのか?」だったので、この記事の表題もそうなっていますが、結果として個人か法人かということは関係ありませんでした。
法人からもらう領収書の印紙税もこの考え方で大丈夫です。