【消費税】EXW条件では消費税がかかるか?

2022年8月18日

「輸出取引は消費税免税」というのは経理の方はご存じかと思います。
消費税は国内で消費される物にかかる税金のため当然ですね。

それでは EXW(工場渡し)条件で輸出される場合は、どうなるでしょうか?
輸出なので免税のような気もしますが、国内で引き渡しているので課税取引では?とも思えます。

考え方

まず免税の意味ですが、「課税取引だけど消費税0%(免除)」ということです。
つまり免税取引に該当するかどうかを判断する場合は、

1.課税取引に該当するか?
2.輸出免税に該当するか?

の2点を調べる必要があります。

課税取引かどうか?

課税取引の条件は、 ご存じ4要件(国内、事業、対価性、譲渡貸付役務)です。
事業、対価性、譲渡貸付役務については該当することに疑いの余地はないので割愛します。
問題は国内取引なのか海外取引なのか、です。

タックスアンサーには以下の記載があります。

その譲渡又は貸付けが行われる時においてその資産が所在していた場所で国内取引かどうかを判定します。

No.6210 国外取引 |消費税 |国税庁 (nta.go.jp)

「その譲渡又は貸付けが行われる時」とは契約時なのか引渡時なのか日本語が不明瞭で理解に苦しみますが、もろもろ考慮すると、「契約時点から引渡(取引完了)時点まで対象資産が一度も日本に所在していない場合は国外取引」ということのようです。

つまり、輸出取引は「国内から」国外への資産を運ぶ訳ですから、貿易条件にかかわらず全て国内取引として取り扱われます。
なので、輸出取引は課税取引に該当します。

ここまでが、課税取引の判定です。

輸出免税に該当するか?

輸出取引であれば(ちゃんと通関していれば)全て輸出免税となります。

輸出取引は全て課税取引だけど、全て輸出免税ということは?
結局、免税?

そうです。免税です。
最初に免税の意味を「課税取引だけど消費税0%(免除)」と紹介した通りです。

じゃあEXWも輸出免税で終わりかと思いきや、そうは問屋が卸さない。

誰が免税なのか?

問題は誰が免税となるか、ということになります。

これは「輸出許可書」や「輸出証明書」で輸出者となっている人になります。

FOBやCIFであれば、通関後に船積み時点で買主に引き渡しとなるため、輸出手続きは売主が行います。
つまり輸出者は売主になっているはずです。
しかしEXWの場合は、国内で買主に引き渡されるので、その後買主が通関します。
つまり輸出者は買主になっています。

ということは売主は輸出者ではないので、輸出免税にはなりません。

結論

長くなりましたが、やっと結論です。

EXWでの輸出は、売主が輸出者にならないので、輸出免税は適用できず、消費税は「課税」となります。

輸出だけど、課税です。
買主さんがちゃんと理解してくれていれば問題ないですが、「輸出なのに何で消費税を付けるんだ!」と言われそうです。
EXWやDAPみたいな極端な条件はやめて、FOBやCIFにしませんか?(経理からのお願い)