【実地棚卸】リスト方式はなぜダメか?
実地棚卸には、在庫データから現物にあたっていく「リスト方式」と、全ての在庫に棚札を貼り、それを回収して在庫データと突合していく「棚札方式(タグ方式)」があります。
どちらも在庫を調べるという意味では同じですが、一般的には「棚札方式(タグ方式)」が推奨されます。なぜでしょうか?
漏れと重複
リスト方式の場合、在庫データからあたっていくため、リストにない計上漏れの在庫があった場合に気づくことができません。
リスト上は全部OKになっても、リストから漏れているものを発見することはできません。
また、同じものが二重に計上されていても気づくことができません。
リストのデータが近くにあれば、気づける場合もありますが、データが離れていたり、別々の担当者が数えた場合は、2回カウントしても気づくことができません。
こういった事象が発生するのは、ものを見ても、それが既にカウントされたものか、カウントされていないのか、区別がつかないということに原因があります。
「棚札方式(タグ方式)」であれば、もし計上漏れがあった場合、回収してきた棚札を在庫データ上で探しても見つからないため、計上漏れが分かります。
二重計上の場合は、棚札を貼る時にひとつの在庫に2枚貼られて気付くか、在庫データと突合したときに、対応する棚札がないことで気付くことができます。
結論
以上から実地棚卸をする場合は「棚札方式(タグ方式)」が推奨されますが、現在は在庫管理もIT化されて精度が上がっているので、負担の少ない「リスト方式」で行う企業も増えているようです。
余談
余談ですが、豊臣秀吉が山の木の数を数えた時のエピソードをご紹介します。
ある山の木の数を変え添えるように家臣に命じた秀吉ですが、何度数えても報告される数がバラバラで、正しい数が分かりません。
現場では手分けして数えていますが、誰がどこまで数えたか分からないため、数え漏れや重複カウントが多発していました。
そこで秀吉はひもをたくさん用意して、まずは1本の木に1本だけひもを結ばせました。
こうすれば数え漏れ(ひもなし)や重複カウント(2本ひもが結ばれてる)が一目瞭然です。
あとはひもを回収して数を数えれば木の本数が分かるという寸法です。
日本で初めての実地棚卸だったかどうかは分かりませんが、「棚札方式(タグ方式)」の有効性が分かるエピソードですね。
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