【2021年度版】電子帳簿保存法を超分かりやすく解説

2022年8月18日

※電子帳簿保存法は令和4年(2022年)1月1日に大きく改正されます。
以下は改正前の内容になりますので、ご注意下さい。
(改正後の内容は、、、時間があったらまとめます)

今の時代、いい加減紙ベースの仕事から脱却したいけど、訳が分からない「電子帳簿保存法」。
ちょっとざっくりだけど超分かりやすく解説します。

保存方法の種類

保存方法は2種類あります。

ひとつはデータでの保存です。
経理データとか売上データとかあると思いますが、データそのもので保存することを税務上は「電磁的記録による保存」と呼びます。

もうひとつは紙の書類をスキャン(または写真撮影)して保存する「スキャナ保存」です。

対象となる書類

経理で使用する書類はだいたい対象となっていますが、3種類に分けられます。

仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など → 国税関係帳簿
貸借対照表・損益計算書・棚卸表など → 国税関係書類(決算関係書類)
請求書・注文書・領収書など(自社発行分の写し)   → 国税関係書類(その他)
請求書・注文書・領収書など(取引先からもらうもの) → 国税関係書類(その他)

保存方法と対象書類の組み合わせ

書類データ保存スキャナ保存
国税関係帳簿仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など×
国税関係書類(決算関係書類)貸借対照表、損益計算書、棚卸表など×
国税関係書類(その他)請求書、注文書、領収書など(自社発行分の写し)意味ない?
請求書、注文書、領収書など(取引先からもらうもの)

保存が認められる要件(データ保存の場合)

①最初からコンピュータを使って作成したデータであること
紙で作成したものや印刷したものを電子データに変換して保存することはできません。
現在の経理は会計システムを使って最初からデータで記録するはずなので、特別な処理はいりません。
貸借対照表や損益計算書も会計システムから自動で出せるはずなのでそのままで大丈夫です。

②規程類の整備
面倒なように感じますが、国税庁が規程のサンプルを公開してくれているので楽勝です。

③税務署長の事前承認
これも申請書や必要な書類が公開されているので、いくつか添付書類を付けて提出するだけです。

ざっくりこの程度なのでデータ保存にするのは意外と簡単です。

保存が認められる要件(スキャナ保存の場合)

問題なのはこっちです。
紙書類の電子化と言った場合、取引先からもらう領収書や請求書を思い浮かべますが、これを電子保存にするのは相当大変です。

①機材要件
・14インチ以上のカラーディスプレイ、カラープリンタ、これらの操作説明書を備え付ける。

②保存データ要件
・スキャナで読み取った時、解像度、階調の情報、などを保存する
・タイムスタンプの付与
・解像度200dpi以上、256階調以上のカラー画像

③システム要件
・書類をスキャナで読み込んだ人またはその承認者を残す
・スキャナ保存されたデータを訂正または削除した記録を残す(バージョン管理)
・スキャナ保存されたデータと仕訳伝票の対応を確認できるようにする
・スキャナ保存されたデータを検索・閲覧できるようにする

④体制要件
・システムの概要や操作方法、保存に関する手続きを記した書類を備え付ける
・相互けん制、定期的検査、再発防止の規程及び実施体制(定期的検査が終わるまでは紙の廃棄はできない)

⑤業務フロー要件
決められた3方式のいずれかのフローで保存作業を行う。
3方式とは「早期入力方式」「業務サイクル方式」「特に速やかに行う方式」の3つ。
「早朝入力方式」とは、書類の受領後おおむね7営業日以内に”本人以外”がスキャン、原本確認、タイムスタンプの付与を行う方式。
「業務サイクル方式」とは、月次処理として書類の受領後おおむね1か月と7営業日以内に”本人以外”がスキャン、原本確認、タイムスタンプの付与を行う方式。
「持に速やかに行う方式」とは、”受領者本人”がおおむね3営業日以内に原本に自署し、スキャン、タイムスタンプの付与を行う方式

③税務署長の事前承認
申請書や必要な書類が公開されているので、いくつか添付書類を付けて提出する。

要件は以上ですが、何個か「これ対応できるかな?」という項目があったのではないかと思います。
今の会計システムは電子帳簿保存法に対応していることが多いので、システム要件はなんとかなりそうですが、体制要件の定期検査や業務フロー要件は社内で対応しなくてはなりません。

※機材要件、保存データ要件、などの分類は税務上の区分ではなく、分かりやすいように私が分類したものです。

令和3年度税制改正

令和3年の税制改正で電子帳簿保存法の要件は大幅に緩和される予定です。

・税務署長の事前承認の廃止(データ保存、スキャナ保存)
・定期的検査の廃止(スキャナ保存)
・タイムスタンプの付与は最長2か月以内に緩和(スキャナ保存)

などが予定されています。
令和4年(2022年)1月1日以後適用なので、今から準備をしておいて、規則がゆるくなってから電子化するのもありですね。