【簿記】仕入勘定って費用なの?資産なの?

簿記3級の最難関「三分法」の話です。

①商品を1個800円で10個仕入ました。
仕入 8,000/現金 8,000 (楽勝だな)

②仕入れた商品を1個1,000円で10個販売しました。
売掛金 10,000/売上高 10,000 (これも楽勝だな)

③利益はいくらでしょう?
売上高 10,000 - 仕入 8,000 = 利益 2,000 (楽勝だぜ!)

ここまでは問題ないと思います。
それでは①は同じで②の販売個数が変わったらどうでしょう?

②仕入れた商品を1個1,000円で7個販売しました。
売掛金 7,000/売上高 7,000 (同じじゃん)

③利益はいくらでしょう?
売上高 7,000 - 仕入 8,000 = 損失 ▲1,000 (こうかな?)

そうでしょうか?
よく考えると800円で買ったものを1,000円で売ってるわけだから損が出るのはおかしくないでしょうか?
それと最初に10個仕入れているから、7個売った後に3個残っているはずでは?どこいった?

ということで①と②は正解ですが、③の計算が違います。

③利益はいくらでしょう?
売上高 7,000 - (仕入 8,000 -期末商品 2,400) = 利益 1,400 (?????)

1個売ると200円儲けがあるわけですから、7個売って利益1,400円なら辻褄が合います。
合いますけど、仕入(費用)から期末商品(資産)を引くのは分かりにくいですね。
そこで分かりやすくしてみます。

①商品を1個800円で10個仕入ました。
商品 8,000/現金 8,000 (仕入にしないで商品にします)

②仕入れた商品を1個1,000円で7個販売しました。
売掛金 10,000/売上高 10,000 (ここは同じ)
商品売上原価 5,600/商品 5,600 (商品を出荷するから商品を減らします)

③利益はいくらでしょう?
売上高 7,000 - 商品売上原価 5,600 = 利益 1,400 (それと商品の残り2,400)

分かりやすいでしょ?
②で商品売上原価を計上すれば分かりやすいのに、なぜそうしないのか?

今回は単純な例なので商品売上原価を簡単に計算できます。
でも実際の取引では、何度も同じものを仕入れることはよくあります。単価もその都度変わります。
さらに売り上げによって減ったり、返品で戻ってきたりと、商品はたくさん動きます。
その度に商品売上原価を計算するのは大変なことなのです。
そこで、商品売上原価の計算は月に(場合によっては年に)1回だけ、差し引きでしようということになりました。

期首から繰り越した商品(期首商品)に今期の仕入を足して、今残っている商品(期末商品)を引けば、今期出荷した商品の金額(商品売上原価)が分かるはず、ということにしたのです。
ですから三分法(仕入勘定を使う方法)では期末にこの計算をするまでは利益が分かりません。
③利益はいくらでしょう?のところでは決算整理仕訳まで考えないと正しい利益が出せないのです。

仕入勘定って費用なの?資産なの?の答えは「費用」なんだけど商品売上原価に振り替えられるまでは費用と思っちゃダメな変な勘定なのです。