遊休資産と休止資産の違いは何?
「稼働を停止している資産」という意味合いで日本語の意味としてはどちらも同じです。
ただし、税務上には「稼働休止資産」という概念があり、これには定義があります。
また、稼働を停止している資産は税務と会計で処理が違うので注意が必要です。
<税務>
法人税法施行令第13条により、事業の用に供していない資産については、減価償却をしないこととされています。
ただし、法人税法基本通達7-1-3により、必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものについては減価償却ができます。これを稼働休止資産と呼びます。
(稼働休止資産)
法人税法基本通達7-1-3
動を休止している資産であっても、その休止期間中必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものについては、減価償却産に該当するものとする。
つまり、予備品等もいつでも使える状態にあれば減価償却ができます。
<会計>
会計上は、使っていない資産でも、減価償却を行う必要があります。
減損処理を行った遊休資産について、減損処理後の減価償却費は、原則として、営業外費用として処理する。
固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 56頃
なお、減損処理を行うこととはされなかった遊休資産についても減価償却を行うこととなるが、当該遊休資産の減価償却費についても、原則として、営業外費用として処理する。
このような取扱いをするのは、遊休資産であっても、経済的陳腐化等により時の経過とともに価値が減少しているためです。
まとめ
使用していなくても、いつでも稼働できる状態であれば、税務上も会計上も償却を行うので差は生じません。
完全に放置され稼働できない状態の資産は、会計上は原則減損(しない場合は営業外で償却)ですが、税務上は償却できないため、会計と税務で差が発生し申告調整が必要になります。
<税務>
ポイントは維持補修が行われているかどうか。
行われていれば「稼働休止資産」として減価償却可能です。
維持補修が行われていなければ償却はできません。有姿除却か廃棄して除却になります。
<会計>
ポイントは将来投資額が回収できるかどうか。
いわゆる減損テストを行って減損するか、しない場合も減価償却は続けることになります。
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